【読み】 ドロップアウト フカクニイタル
【著者】 Rista Falter
【表紙込みページ数】 330p
【初版発行日等】 2018年7月16日
【判型】 文庫判
【頒価】 1,000円
【サークル名】 化屋月華堂
【ブース】 B-15
【鈍器概要:250字以下】
「俺の代わりに死んでくれないか」
二〇〇X年、夏。一人の哀れな男が奇跡を願い、ある人物がそれを叶えた。以来、男が故郷に残した息子の元へ災難や事件が押し寄せ……
弱い人間と弱い天使が困難にあらがう現代ファンタジー長編、第1巻。続刊の発行時期は未定ですが、多分もっと厚くなります!
【抜粋:500字まで】
「でも大きくなったな。六年ぶりだっけ、うん、立派になった。お父さんは嬉しい」
「なんでこんなところにいるんだよ。ニューヨークで死んだんじゃなかったの」
「え、いや、それちょっとひどい……」
息子の一言に陽介がうろたえる。言い切ったサイガの方は、父親を名乗る男を見下ろしながら、次第にその姿に違和感を覚え始めていた。
幽霊にしては頭から足まではっきりと見えるし、どこも透けていない。しかし顔色は青白いどころかほとんど白に近く、一方で髪や目は異様に暗く見えた。人間が備えているはずの色彩が足りない。モノクロの映像でも見ているようだった。
「……まさか、本当に」
「待て待てちょっと待って、聞いてくれよ、話だけでも」
陽介は半歩下がるサイガに手を伸ばしかけたが、引きとめようとした右手は届かない。しばらく待ってから、しょげた顔で手を下ろした。
(やっぱり、あいつだ。あの頃と同じだ)
遠い昔の記憶、この男が妻にすがりつく姿を頭に浮かべ、サイガは奥歯を噛み締めた。
――(34~35ページより
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