Entry21『虚を繋ぐもの』

『虚を繋ぐもの』 ページ数確認写真 【書名】 虚を繋ぐもの
【読み】 ウロヲツナグモノ

【著者】 堤 一三三

【表紙込みページ数】 386p

【初版発行日等】 2019年5月6日
【判型】 文庫判
【頒価】 1,800円

【サークル名】 雫星
【ブース】 B-05

【鈍器概要:250字以下】
【刀剣乱舞二次創作、刀剣男士×創作女審神者あり】意図的に仕組まれた任務により、強制出陣の末負傷した審神者。寝込みながらも本丸を徘徊する珍現象に男士らが手を焼く中、山中深くの本丸に囚われた亡霊の怨讐が蘇る。長編第2巻。

『虚を繋ぐもの』 書影
【抜粋:500字まで】
 確認のような会話の端々で、青竹色の瞳が不安に揺らぐ。あれは、自分の目を見ながら違う自分を見ていたと、零した。
 ぐるりと彩度の欠けた世界が流転する。
 夢。というものは脈絡がないと、つい最近知った。鬱蒼とした死の匂いは確実な一幕となり、遂に第三者が足を踏み入れる。
 ぴんと背筋を伸ばし、黒髪を揺らし、女は進む。震える手足を隠して、充満する腐敗臭に顔を真っ青にさせながら。それでも進む理由を、今なら知っている。狂気じみた自責の念、正義感、自己犠牲。成さねばならぬという、強迫思考。
 まず、女は虫の集る骸に両手を合わせていた。
 次に、心が朽ち果てそうだった一振に声をかけ、手を伸ばした。握られた手を握り返し、女は此方を向いて、告げる。
『せめて最期は』
 はて、何と言ったか。震える声は、何と告げたか。
 花が舞っていた、気がした。
 庭には薄紅の濃淡が広がっている。風に煽られるものを眺め、耳には土を掘る小気味よい音が届く。
 罪か、罰か、呪いか、すべてか。
 答えは得られず仕舞い。
――「呪いと祝いと桃の頃」(142~143ページ)より

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