Entry18『投げたボールは戻ってくる』

『投げたボールは戻ってくる』 ページ数確認写真 【書名】 投げたボールは戻ってくる
【読み】 ナゲタボールハモドッテクル

【著者】 わたりさえこ

【表紙込みページ数】 304p

【初版発行日等】 2015年4月19日
【判型】 文庫判
【頒価】 900円

【サークル名】 ナタリーの家
【ブース】 C-21

【鈍器概要:250字以下】
待っていても来ない。本当に存在しているのかもわからない。誰もが私を騙そうとしているのだろうか。
100字の超掌編から、原稿用紙50枚程度の短編まで。各話の創作余談もたっぷり収録。
ありふれていて、少しだけ不思議な、創作小説137編。

『投げたボールは戻ってくる』 書影
【抜粋:500字まで】
 透明人間になったら何をするか、という議論が仲間内で始まった。そこで、「実は私は透明になれる」と告白した。ただし、人から見えなくなっている間、私は非常に速く動き続けなければならない。速く走れば、私の姿は誰にも見えない。
 これを条件に出して、先の議論を続けてもらった。古典的な願望を述べていた者は、「風呂場では可能か」と問うてきた。私が「ある程度の広さと、足を滑らせない状況が必要だ」と答えると、彼は黙ってしまった。広い浴場やゴム底の履物などを検討しているのかもしれない。その条件が揃ったところで、透明になるのは私であって彼ではないということに、彼は気付いているのだろか。
 聡明な男がいた。彼は、議論を建設的な方向へと導き出した。「君は速く動くのだから、……
――「高速移動破壊」(239ページ)より

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