Entry14『はらわたの散歩者たち』

『はらわたの散歩者たち』 ページ数確認写真 【書名】 はらわたの散歩者たち
【読み】 ハラワタノサンポシャタチ

【著者】 青波零也

【表紙込みページ数】 390p

【初版発行日等】 2019年3月21日
【判型】 文庫判
【頒価】 1,500円

【サークル名】 シアワセモノマニア
【ブース】 D-05

【鈍器概要:250字以下】
『獣のはらわた』には、異形の「案内人」がいるという。
霧の女王国首都地下全域に広がる迷宮『獣のはらわた』。そこに住み着く半人半植物の化物『ヤドリギ』は、今日も美貌の女怪盗や奇天烈な食通、若き女優など物好きな来訪者たちを相手取り、霧明かりもささない闇の中をランタン片手に歩んでゆく。
化物と人とが織りなす、人情ものファンタジー連作短編集。

『はらわたの散歩者たち』 書影
【抜粋:500字まで】
「『ヤドリギ』、随分いい顔をするようになったじゃないか」
 言われて、『ヤドリギ』はフード越しの視線をそちらに向けつつ、首を傾げる。
「そうだろうか」
 相手は、履き古してすっかり靴底が磨り減っていた『ヤドリギ』のブーツを修理している靴職人だ。元々住処を追われて『獣のはらわた』で細々と仕事をしていたのが、その丁寧な仕事の腕を生かして地上でも働けるようになったらしい、と聞いたのが確か……、何年前だっただろうか。『ヤドリギ』の時間の感覚はいつだって頼りない。
 靴職人の男は、黒く汚れた頬をかきながら、にっと歯を見せて笑ってみせる。
「昔のお前、何があっても眉一つ動かさなかったろ。何考えてるかわからないって、不気味がるやつも多かったんだぞ」
 そう、だっただろうか。『ヤドリギ』は自分の顔を自分で見られるわけではないから、かつての自分がどうだったのかも、今の自分がどう変わったのかもわからない。
「だから、久しぶりに顔を見て安心したよ。随分上手くやってるみたいじゃないか」
「勝手に案内人を気取っているだけだが」
――223~224ページより

【Webカタログ】 https://plag.me/p/textrevo09/6259