Entry17『エクスリブリス・クロニクル』

『エクスリブリス・クロニクル』 ページ数確認写真 【書名】 エクスリブリス・クロニクル
【読み】 エクスリブリス クロニクル

【著者】 シロジクロエ

【表紙込みページ数】 440p

【初版発行日等】 2017年10月1日
【判型】 B6判
【頒価】 2,000円

【サークル名】 アールワークス
【ブース】 D-23~24

【鈍器概要:250字以下】
図書館×喫茶店×レトロファンタジー。
現代日本と別レイヤーの異世界という設定で主に東北地方を舞台に描く、ほのぼのディストピアBL「蔵書票シリーズ」総集編。物語ごとに登場人物と時間軸が異なり、少しずつリンクし合っている読切小説9編です。
書き下ろしや制作裏話を収録、発行時の特殊装丁についての解説もあります。

『エクスリブリス・クロニクル』 書影
【抜粋:500字まで】
 駅舎を出ると、今乗ってきた汽車が黒煙を上げて都会へと戻っていく。
 そこは首都から遠く離れた北の町。雪こそ降っていないが肺を刺す冷たさは、すでに冬の空気だった。
 建物はどれも低く、空をゆく飛行船もひとつあるかないか。住民も昔に比べればずいぶん減ったようだ。下りたシャッタのほうが多い繁華街や、石垣も朽ちかけた城址公園を通りすぎるたび、この地方都市も世界的な黄昏の進行には逆らえないのだと実感する。
 年々気温が下がっている昨今では、あえて北へ来る者は少ない。首都やその先に南下する者も増えていて、北が南より一足先に宵闇の時代を迎えようとしているのは明らかだった。
 冷え冷えとした石畳を踏みしめて何本かのガス灯に見送られ、角を曲がってすぐのところに、そのビルはあった。元は印刷所だったという三階建ての上二階ぶんは、カーテンや窓辺の様子から住居なのだとわかる。下宿なのか、それともビルの所有者が住んでいるのか。
 表通りに面した入り口はさほど大きくはないが、扉のガラス面に「中央図書館 古書管理閲覧室 第七十二分館」と仰々しい字面が並んでいる。その横に「喫茶エクスリブリス」という立て看板が出ていた。
――「喫茶エクスリブリス」冒頭より

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