Entry06『花と祝祭』

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『花と祝祭』 背幅確認写真 【書名】 花と祝祭
【読み】 ハナトシュクサイ

【著者】 まるた曜子

【背幅】 2.5cm
【表紙込みページ数】 376p

【初版発行日等】 2017年10月1日
【判型】 文庫判
【頒価】 1,000円

【サークル名】 博物館リュボーフィ
【ブース】 B-09

【鈍器概要:250字以下】
ほのぼの真面目な一つ屋根の下の歳の差身長差恋愛

この家には欲しいものが全部ある―――。
小学4年の夏休み、晴禎が不仲な父母から隔離された先は伯父の白城家だった。
しっかり者の伯母、晴禎を引き取るために奔走してくれた伯父、そしてくしゃりと頭を撫でて笑う10歳年上の従姉、絢音――。

「あの1年」を取り戻したくて。
晴禎の高専入学を機に15歳と25歳で再会したふたりの、5年間の軌跡。
少年の自立の物語。

「ここんちにきたこと、後悔させないから」

『花と祝祭』 書影
【抜粋:500字まで】
「なに、これ」
「晴禎専用Suica。ごめんね、こっちじゃTOICAは買えなかった。ただJRってダメねー、どっちにしても新幹線乗れないんだよ、これ。だけど、どうしても辛かったら、どんな方法でも、おいで」
 こうなると決まったときに晴禎の保険証を持ち出して作った、子供用Suicaがビニール越しに緑色に光る。
「あたしたちは会いに行けないけど、晴くんが来るのは止められてない」
 にやりとすると、晴禎はまたぽかんとあたしの顔を見上げる。
 ここが抜け道だった。あくまで春臣さんは我々に制限を掛けただけで、晴禎にはなにも言ってないのだ。子供だからって、晴禎を話し合いに参加させずに結果だけ知らせたツケを、払うがいい。
「コツは、会いたい、ここに来たいってそぶりを見せないこと。そんなこと言ったら絶対止められるから、気をつけて」
 はっきり言って春臣さんは、子供を侮りすぎだ。自分のいうことを聞くべき生き物だと思いこんでるからこんなひどい扱いができる。
「あ、あやね、さぁん」
 ふぐ、としゃくりあげて飛び込んでくる晴禎を、受け止めて、そのままベッドに倒れる。あたしが晴禎にしてやれるのはここまでだ。
――「before」(60~61ページ)より

【Webカタログ】 https://plag.me/p/textrevo09/7299