かつて、株式会社アスキー(当時)から、『MSXマガジン』という雑誌が発行されていました。
初めて手にした(勿論、自分のお金で買った)パソコンがMSX2であった私にとって、MSXの推進母体(?)でもあったアスキーさんの出すこの月刊雑誌は、大切な情報源でした。
1990年、その『MSXマガジン』──以下、「Mマガ」と当時の略称で書きますが──2月号誌上で、新しく発売されるRPGコンストラクションツール「Dante」の特集が、大々的に組まれます。
当時、下手糞な小説やイラスト等を生産しまくっていたのみならず、ぽちぽちとプログラミングなども始めていた私は、当然、この「コンピュータRPGを作れる」というソフトウェアにも強い関心を持ち、早速購入に至りました。
ソフトを立ち上げ、当たり前のように、収録されていたサンプルゲーム『BADOMA 血塗られた伝説』をプレイ。
有り触れた、フィールド型のコンピュータRPGだろーなーと思ってたんです。
よく知られているゲームで言えば、ドラクエみたいな(……やったことはないですが(汗))。
……そして、見事に、すっ転びました。
特に、パーティーメンバーのひとりである、タンジェという名の青年に。
このゲームに……と言うよりタンジェ君に、ぞっっっっこん惚れ込んでしまったことから、全てが始まりました。彼や仲間達を描いたパロディ漫画やイラスト類を毎月のようにMマガに複数枚(最低でも2枚、多い時で4枚)投稿するだけでは飽き足らず、ゲームをノベライズしてMマガ編集部に送るわ、「Dante」で勝手に続編ゲームは作るわ……(そのゲームの方も、後に、是非コンテストに送ってほしいと言われたので、恥ずかしながらタンジェ君へのラブレター代わりに送らせていただきましたが)……ゲームBGM、特にタンジェ君が主役となったエピソード(@デーナ国の寺院)で流れ続けていたBGMのアレンジ曲は次々と作り倒すわ……(汗)
(……当時のMマガをお読みになっていた方なら、タンジェ君にド嵌まりしてバレンタインチョコレートを送ったりイラスト投稿しまくったり果ては続編ゲームまで作ってコンテストに応募し誌上で紹介されたりしていた大馬鹿者が居たことは、何となく御記憶にある……かもかも……)
……ですが、完全受注生産のコピー本ノベライズ(コピー実費のみで頒布)を3巻まで出したところで、社会人になって趣味に割ける時間が激減し、また、締切のある『芸術研究誌 AIM』連載作品『魔剣士サラ=フィンク』の執筆に追われる中で、何となく中断。その後、著作権法上では黒に当たる行為であるということも学んでからは、著作権法違反には当たらない周辺作品は書いても、既存ゲームの翻案に当たるノベライズ自体は封印してきました。……当該ゲーム『BADOMA』の原作者・そらまめ様からは、「著作権なんて気にしないでどんどん書いてください」
という有難いお言葉を頂いたのですが、法の上では黒ですからね(苦笑)。
とは言え。
更に更に大人になった近年は、当該作品の著作権を持っていたアスキーさんが角川さんに吸収されてしまったり(汗)、そもそも多くの権利者サイドが所謂二次創作については「……えーと、上手にやってくださいよー(小声)」というスタンスでいるのだなーということが見えてきたり……という事情もあって、色んな作品の区切りが付いたら、ちゃんと完結させておこう──と考えるようにはなっていました。
何しろ、3巻のあとがきに、「完結するまで後には退《ひ》きませんからね」
と堂々明記してあるんです……このままだと、完全なる逆フラグじゃないですかー(滝汗)。
……ただね。
まだ色んな作品の区切りが付いてないにも拘らず、何で、今まさにリライトやってんのかと(汗)。
我ながら、突っ込みたくはなります。……昨年最後に出した『蔵出しミックスナッツ』のあとがきで、「今度こそ、次は『魔剣士サラ=フィンク』でお会いしましょう!」
って書いたのが、完っっっ全に逆フラグになっちゃってるじゃないですかー(泣)。
……まあ、これはもう、折角「Text-Revolutions」さんの立ち上げ回に参加するのに、なーんにも新刊がないっていうのは寂しいよなあと思っていた時に、長らくクローゼットの肥やしになっていた「Dante」を動かせるハードウェアを幸運にも手に入れることが出来、『BADOMA』やその勝手な続編を二十何年か振りにプレイすることが叶ったことで、焼け木杭に火が点いたから、なんでございますよ(爆)。
それから凡そ3週間が経過した現在、1巻に当たる部分は、一太郎への移植完了を指呼の間に望むところまで来ています。
って、はえーよ! (汗)
これで、初回テキレボ合わせの新刊として間に合うことは確実となりました(苦笑)。
多分、表紙込み116ページになることでしょう。
……それにしても、因果なものですなぁ。
かつて、己が余りにも『小説BADOMA』執筆にのめり込みすぎていることにオリジナル物書きとしての危機感を覚えて書き始めた『魔剣士サラ=フィンク』が、結果として『小説BADOMA』から私を遠ざけてしまったわけですが、巡り巡って、『魔剣士サラ=フィンク』を完結させようと作業している現在の私の許へ、『小説BADOMA』が颯爽と戻ってくることになろうとは。
何となく、タンジェ君たちに、かるーく復讐されている気分です(苦笑)。
そんな思わぬ伏兵として二十数年振りに浮上した『小説BADOMA』……余りにもニッチ過ぎる二次創作(元ゲームを覚えている人がどれだけおいでなのか(汗))ですが、刊行の暁にはお手に取ってやっていただければ嬉しい限りです。
……あ、ただ、ノベライズとは言いながら、オリジナル展開てんこ盛り、エピソード切り捨て・換骨奪胎も山ほどありますんで、原作ゲームに忠実な代物とは到底言えません。
万が一にも元ゲーム『BADOMA』を御存じの方、そこのところはどうぞ御寛恕くださいませませ(汗)。
【参考: 『小説BADOMA』関連作品】
『四番目の魔道士』
『BADOMA』内で伝説として登場する魔道士たちを描いた連作(?)短編集
表題作 「四番目の魔道士」 → 全文掲載ページ
『蔵出しミックスナッツ』に収録
「伝説の前に」
「誓言から逃げる魔道師」 → 抜粋ページ