野間みつねの個人ブログです。
時には「千美生の里通信」のWeb版として、
そして時には創作活動の報告の場として……
余程に気が向いたら、書きかけの小説の断片を掲載するかもしれません。
 

里長インタビュー with ミルシェ嬢

はじめに
 ――今日は、少しでも『魔剣士サラ=フィンク』や主人公サラ=フィンク君を知ってもらう為に、彼と一緒に旅をしているミルシェ嬢に、里長・野間みつねから直撃インタビューを敢行することにしました。

ミルシリア・エル・カーリー(ミルシェ)
ミルシェ/(c)1994 星村朱美 反乱で滅びたケルリ王国の第二王女。通称ミルシェ。
 物語開始時点で17歳。淡い金色の髪に草色の瞳の持ち主。なお、この色の組み合わせは、旧ケルリ領の辺りでは余り珍しくもない。
 攻め落とされた王城から脱出した先でサラ=フィンクに〝助けられた〟のが縁で、そのまま一緒に旅をすることになる。
 多少気位の高いところもないではないが、折々にお忍びで町中を歩いていたという〝型破りな〟一面を持つせいなのか、歴史ある国の王女だったにしては随分と気さくな性格で、環境への順応性も高い。

 ――という訳で、宜しくお願いします。
 え、あたし? あたしに訊くより、サラ=フィンクに直接訊いた方が早いと思うんだけど。
 ――サラ=フィンク君に直接訊いたら、粗方答えてもらえないと思われるので(苦笑)。
 あー……まあ、そうよねえ……。
 しょうがないわねー。でも、何処までなら話していいの? サラ=フィンクって、秘密にしてること一杯あるでしょ?
 ――あ、マズイな、と思った箇所は私の方で伏せ字にしますので、忌憚なく(笑)。
 じゃあ、あんまりり気にしないで話すわね。

出会ってから
 ――では、まずは順当に、サラ=フィンク君と出会った頃の印象などを。
 噂だとそれこそ「老若男女お構いなしの無差別殺人鬼」って言われてた人だし、だから最初は、いつ気が変わって殺されるかって怖かったし、彼も「ブリザードが満足してなかったらお前も斬っていた」っていつも言ってたけど、宿に置いていかれるのは、そのまま置き去りにされるかもって思えてもっと怖かったら、彼が出掛ける時には必ず付いていってたわ。
 でも、付いていった先の街道で彼が狙ってたのは、大体、旅人の懐を狙うならず者だったの。斬り掛かる前には必ず「隠れてろ、邪魔だから絶対に出てくるな」って言われてたし、結局、あたしには一度も剣を向けようとはしなくて。
 ――似たようなことを、作中「賢者たちの国の内患」でも回想してましたよね。
 うん。出会った頃のサラ=フィンクって、ホント不愛想な物言いしかしなかったから、腹の立つことも多かったけど、彼なりにあたしに気を遣ってくれていたのかなーって、今ならわかるわ。
 それに、ブリザード――あ、説明してなかったけど、サラ=フィンクの持ってる魔剣の名前ね――を抜いてない時には全然、無慈悲な無差別殺人鬼だなんて思えない人だったの。それが不思議だったわ。
 ――で、どうしてなのか〝魔道王国〟ルーファラを目指そう、という旅が始まるところから、本編は本格的にスタートするわけですが……
 もー、ホント訳わかんなかったわ。何でルーファラに行きたいのかって全然話そうとしないし、街道を通らないで〝崩壊の砂漠〟を突っ切るなんて言い出すし。
 勿論、全部それなりの理由があったんだけど、あたしには碌に説明してくれないんだもん。……心の中では、あたしには付いていくしかないんだってわかってたから、文句言っても付いてはいったけど。
 ただ、仮に説明されても、あの時のあたしには全然理解出来なかったわねー、きっと。

変化した? しない?
 ――ところが、不愛想なばかりと見えていたサラ=フィンク君には、とっくに変化が生じていたわけですね(笑)。
 そうねー、そもそも彼が「ルーファラへ行く」って言い出したことが、彼が変化した証だったんだけど、あたしは気付けなかったから(苦笑)。
 でも、サラ=フィンクが砂漠の遺跡へ行っちゃって、その時に、ああ彼は本当はあたしに気を遣ってくれてたんだ、あたしを護ってくれてたんだってわかって……それで、あたしも彼の為に何かしたいって思ったの。何にも出来ないのにね(笑)。
 ――いやー、結構なことを仕出かされてますよ(苦笑)。
 その話はしないでおくわ。絶対伏せ字にされるから(笑)。
 ただ、サラ=フィンクが不愛想で、色んなこと全然あたしに相談どころか説明すらしようとしないって辺りは、随分と後になるまで変わらなかったわ。
 ――まあ……絶対知られたくない、説明なんて出来ないって思い込んでましたからね、彼は……。
 ひとりで勝手に「斯く斯く然々になるに違いない」って、悪い方に思い込んじゃうところがあるのよ、サラ=フィンクって。
 どうも、彼に言わせると、あたしの方が「軽く考え過ぎる」ってことらしいんだけど、でも、●●●も言ってた通り、秘密の重さって、受け取る相手によって変わるものよね(笑)。
 ――はい、伏せ字一か所頂きましたー(汗)。

第二部に入ってから
 ――第一部最終話でサラ=フィンク君の秘密と目される事柄を大体知って……以降の旅ですが、やっぱり、かなり変わりましたか?
 サラ=フィンクのこと? うん、あたしの目から見ても、随分と変わったなーって思うわ。
 愛想が乏しいところは余り変わってない気がするんだけど、説明した方がいいなって判断したらしいことは隠さず説明してくれるようになったし、何かをするかしないかを決める時に、あたしの意思を確認してくれるようにもなったし。それって、最初の頃の彼を思えば、凄い変化よね。
 あ、あと……あたしが旧ケルリへ戻りたいって望まない限り、誰が相手でもあたしを護るってハッキリ言葉にしてくれるようになったのも、変わったところかしら。
 ――第二部に入ると、ミルシェ嬢自身の身辺が何かと騒がしくなってきましたからね。
 アランがああだったのは理解出来たけど、レムランド王国の方は、正直ちょっと、どうしてそこまであたしに拘るの? って、理解不能だったわ。もし、ナイクさんが話してた通りの目論見があったんだったら、なーんか感じ悪いわよねー、レムランド(笑)。
 でも、後からサラ=フィンクが話してた推理の方が正しかったのかしら。レムランドの第二王子さんが実際に●●に●●●●●●●たってことは。
 ――ですねー。作中で明示的に記すことは敢えてしませんでしたが、結果として正しかったらしい、と読み手に推測させるに足る情報を書くに止《とど》めました。
 どうして明記しなかったの?
 ――えぇ、逆インタビューですか(汗)。……最初は書こうかなーとも思ってたんですが、そっちを書き始めると『魔剣士サラ=フィンク』の本筋の話から外れて、色んな視点や複数陣営の思惑が絡み合う『ミディアミルド物語』っぽくなっていくな……つまりは、もっともっと長くなるなってことがわかってたんで、最低限の結果を手紙に託すだけにして、さらっと流しました。
 ねえ、番外編か何かで書いてくれる? ●●●と●●●●●●が、どうしてあーなってそーなったのかも知りたいし(笑)。
 ――考えておきます(苦笑)。

周囲の人々
 ――さて、そろそろ、サラ=フィンク君との関係性の進展について……を尋ねるとネタバレも甚だしいんで流石に自粛して、差し支えのない範囲で、旅の中で出会った方々について訊くことにしますね。伏せ字にしなければならない面々は除いておいて(汗)、印象的だったのは?
 えー、話したいのって、伏せ字になる人ばっかりよ? 人じゃない人も居るけど(笑)。
 誰なら伏せ字にならない? 勿論●●●は駄目なのよね、さっき伏せられたし。あと……多分、●●●●●も駄目よね、サラ=フィンクの●●●●だし。……おばばさんは? あ、ちょっとなら大丈夫? ●●●●人って、あたし達より長生きだって知識では知ってたけど、幾つになるのか、そう言えば訊いたことがなかったなあって。サラ=フィンクに訊いても教えてくれないと思うし、今度機会があったら直接おばばさんに訊いてみたいわ。
 ――(作者小声:地の文で書いている限り、百二十歳は超えているとのことです……が、折角本人が訊いてみたいと言っているのに横から教えるのも無粋なので~ごにょごにょ……)
 えー、なに? 何か言った?
 ――いえいえ、続けて、他の方についてもどうぞ。
 他ねえ……あっ、あの「やな奴」は? やな奴だったけど。
 リュキアね。もー、ホント、腹立つ奴だったわ。サラ=フィンクにべったべたしてくるし。……あー、勿論あの頃は、あたしも、サラ=フィンクのこと好きか嫌いかなんて意識してなかったんだけど、でも、なーんか腹立ったのよね、あれは。
 ――その割に、シルヴィーナさんには妬かないですね。
 シルヴィーナさん? あたしの知ってる限り、別にサラ=フィンクにべたべたしたりはしてなかったと思うけど……あ、そっか、前に軽く誘惑したことがある、みたいな話をしてたっけ(苦笑)。でも、シルヴィーナさんなら、うん、まあいいかー、って気になるの。自分でも不思議なんだけど。
 シルヴィーナさんの方も、あたしのこと面白くて好きって言ってくれてるし、もう、そこは相性なのかなーって思う。
 そもそも、シルヴィーナさんって、「面白いか面白くないか」で、自分にとって価値のある相手かそうでないかを判断してるわよね(笑)。
 ――あくまでも、彼女にとって面白いか否か、という点がミソですね(苦笑)。他に印象的だった方々は?
 あとは……サラ一族の人たちとか●●●のことは避けておいて……印象に残ったっていう点では、ノールで出会った吸血女王さんかしら。
 あの人の言う愛し方って、あたしには今ひとつ理解出来なかったけど、ああいう人も居るんだなあって、何だか考えちゃった。
 あ、それから、カンダスのノーグさん達! 素敵な人たちだったのに、碌にお別れも言えずに来ちゃったし、●●●と●●●●●●のこともあるから、番外編であの後を書いてね(笑)。
 ――か、考えておきます……(二度目)。

おしまいに
 ――そろそろ締めに入りますが、語り残したなぁと思うことなどありましたら。
 あたし達のお話の続きって、書かないの?
 ――ど直球ですね(汗)。主に●●●様を扱う外伝を集めた本は出しますが、『魔剣士サラ=フィンク』自体は一応完結、ということになっていますので、サラ=フィンク君とミルシェ嬢の「あの先」が入る予定はないです。絶対に何も書かない、と断言するほどのものでもありませんが、執筆する余裕が……(苦笑)。
 うーん、そうね、他にも一杯「……続きは?」って言われてそうな作品があるものね(笑)。
 ――御配慮有難うございます(汗)。では最後に、読者になってくれるかもしれない皆様へのメッセージを。
 あたし達のお話、ちょっと見た目は厚いんだけど、あの一冊で読み終えられるってところは、里長の他の長編作品より有利だと思うの。
 色々あって、みーんなが、それなりに〝なるようになる〟お話だから、宜しくね。
 ――ミルシェ嬢こと、元ケルリ王女ミルシリア・エル・カーリーさんにお話を伺いました。御協力、有難うございましたー!



 ……以下、過去記事からほぼ再掲です。

 『魔剣士サラ=フィンク』に関しては、以下の記事も御参考にしていただければと存じます。
 但し、ふたつ目の記事は、展開ネタバレ満載ですので、「ネタバレがあっても、どんな感じの作品なのか事前に知りたい」という方のみどうぞ(汗)。

   ■ 『魔剣士サラ=フィンク』、遂に刊行
   ■ 【展開ネタバレ注意】 『魔剣士サラ=フィンク』各話紹介

サイト内の試し読み掲載ページ
   ■ 魔剣士サラ=フィンク → こちらから(ページトップまたは末尾のリンクから3か所分辿れます)

 また、創作文芸見本誌会場「Happy Reading」にも、上記とは異なる場所から見本を投稿済みですので、御参考まで。

「Happy Reading」掲載ページ
   ■ 魔剣士サラ=フィンク → こちらから

 テキスト版の試し読みは短いですが、PDF版は結構がっつり提供しておりますので、出来れば、紙媒体と同じ組み方になっているそちらをダウンロードしてやっていただければ……。

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