【読み】 スナノヒツギイフ カナワナカッタミライノモノガタリ
【著者】 天海六花
【背幅】 2.2cm
【表紙込みページ数】 312p
【初版発行日等】 2018年7月16日
【判型】 新書判
【頒価】 1,200円
【サークル名】 アメシスト
【ブース】 B-16
【鈍器概要:250字以下】
「砂の棺」本編完結後の、「誰か」が思い描いた、叶わなかった未来の幸せな幸せな物語。
砂漠の国であるウラウローの遥か北の町、ミューレンでのカルザスとレニーの日常。
そして新しく出会う大切な人たちとのふれあい、事件。
物語は人との繋がりを通して、幸せであたたかな未来へと続いていく。
【抜粋:500字まで】
「だいたいね、こっちはもうちゃんとオトコやってんだから、色目使って見てくるなっつーの!」
リゾットのスプーンを振り回し、頬杖をついたレニーが不機嫌そのものといった様子で不平を述べる。
そんな様子を、カルザスはふふと笑って見ていた。
カルザス・トーレムは南の砂漠の国・ウラウローから来た元傭兵である。温厚で柔和な雰囲気が傭兵に似つかわしくないとよく指摘されていたが、本人はまるで気にしていなかった。だがいざとなれば、いや本人が必要と判断した場では、異常なほどの頑固さで周囲を圧倒、唖然とさせることがしばしばあった。
レニー・ティリはカルザスと同じく、南の砂漠の国出身の元詩人だ。しかし夜の闇に紛れ、仕事とあらば赤子であっても平然と屠る、自我を失った非道の暗殺者だったという顔も合わせ持つ。今はすっかり改心して、心酔しているカルザスの弟分として、日々を穏やかに過ごしているが。
罪を償うために、殺してきた者たちの分まで、枷を胸に生きると決めたのだ。
「なに笑ってんのさ」
――「1 ミューレンの雑貨屋」(4ページ)より
【Webカタログ】 https://plag.me/p/textrevo09/4869