野間みつねの個人ブログです。
時には「千美生の里通信」のWeb版として、
そして時には創作活動の報告の場として……
余程に気が向いたら、書きかけの小説の断片を掲載するかもしれません。
 

「店舗委託情報」のブログ記事(古→新)

夏の祭典、大過はなく

 8月14日、コミックマーケット90に参加してまいりました。

宴の後、聖地神殿を望む
 普段はあっさり目のコミケ参加報告ですが、今回はディスプレイで色々あったので、ちょっと長いです(汗)。予め御了承ください。

 今年は、一年置いて、またしても何の間違いか「お誕生日席」への配置。正直、完全通路となった一昨年夏の光景も過りましたが(汗)、あの時は「初日=平日/西ホール配置=誕席の幅が机1本分しかない≒するっと通過され易い」という条件も大きかったかなとも思えますし、今の私の目から見るとディスプレイも一本調子だったという反省要素もありますし、何より、「誕生日席はちょっと……」という色の仄見える申込時アンケートが出されているにも拘らず(苦笑)、敢えて誕席、しかも出入りのし易い通路側に配置しようと決断された配置担当スタッフの方のお気持ちを思えば、これはもう頑張るしかないですよね(笑)。

C90 3日目 東5 「ヒ」07a 正面

 ……という訳で、サークルスペース用のテーブルクロスを前垂れPOPを垂らしてもサークル名等が隠れない形に作り替え、ポスタースタンドと大判(と言っても控え目にB2)ポスターも初導入と相成りました。

 反省点として、高さのある大判ポスターは2枚印刷しておき、裏にも同じ物を掲げるべきでしたね、ということが挙げられます。後方から歩いてこられる方もおいでなのですから、白い面を無為に見せておくのは勿体ないですよね(苦笑)。

C90 3日目 東5 「ヒ」07a 横

 誕席配置なので、横から流れてくる人の目も意識。
 但し、一昨年のように頒布物への視界を塞ぎ過ぎてしまわないよう、横からでも机の上の頒布物が或る程度は見える状態にすることを念頭に置きました。

 因みに、前垂れPOPは、恐らく通りすがりの人は下よりも上を見るだろう(……どうも通路も広くはなさそうだし)、という考えから、寄ってきた人向けの細かな情報提供(頒布物リスト&頒価一覧や、アンソロ収録作品&作者一覧など)に徹してみました。通りすがりの人の目を惹く役目は、視線の高さ(か、それ以上の高さ)のポスター類に託しています……成功しているかは別として(汗)。

C90 新刊・初売り等エリア

 スペースの向かって左側が、新刊・初売り等、押し出し気味の頒布物のエリア。
 ポスターの大きさは、見た目が一本調子になることを避ける為、A3ノビ横(コミケ初売り『小説BADOMA』4巻)・A4縦変形(新刊『早蕨号、異世界をゆく』)・B4横(委託品『みどり芽吹く』/右の写真では殆ど隠れてますが前垂れ)・ミニ(最終頒布『補充裁判員2番』)……と、それぞれサイズを変えました。

 ……実は、『補充裁判員2番』を売り切ると、しれっと下から『ミディアミルド物語』の宣伝POPが顔を出すという仕様だったんですが、使われることなく終わりました(苦笑)。

C90 既刊・無配エリア

 スペース向かって右側が、既刊と無料配布のエリアです。
 なお、無配の表紙には後から、「無料配布!」という付箋を、1セット毎に貼りました(笑)。

 既に拙サークルのスペースディスプレイ什器としてお馴染みになりつつあるこのガラガラ回転棚の下には、普段は長方形のアクリル台を置くのですが、そちらは今回、隣の新刊エリアで少し高さを出す為に使用しています。なので今回は、「長方形だと結構場所取りだし、正円だと台座の回転部分の溝に嵌まりそうで嵌まらない不安定な状態になるから駄目だし、正方形のアクリル台を置こうかねー」と考え、購入してきておりました。
 ところが、自宅で前日に行なったディスプレイ試行で、致命的な問題点が明らかに。
 見本誌を棚に並べている最中に、あっさり棚がバランスを崩して傾き、見本誌がドガガガッと雪崩れ落ちるんですわ(汗)。
 この位置で見本誌が雪崩れ落ちたら、下手をすると隣のサークルさんに多大な迷惑を掛けてしまうことに(焦)。
 そして、当方が見本誌を設置する時に幾らバランスに気を付けつつ詰めたところで、見に来てくださった方がどの見本誌を棚から抜き取るかで、雪崩が起きかねない……ええ、アレですよ、ジェンガ状態ですよ(爆)。
 追加の長方形アクリル台を買いに行く時間まではなかったので、前に同様の目的で買ったものの土台部分と上手く合わずに死蔵する羽目になっていた正円のアクリル台(高さは正方形の台と同じ)を引っ張り出し、ふたつのアクリル台で対角線を支えることにし、どうにか安全に見本誌設置・棚回転させられるようになりました(安堵)。

 私の場合、得てして「これとこれなら合いそう」というフィーリングだけでディスプレイの為の什器を買ったり作ったりしてしまうことも少なくないので(汗)、実際に使用する時点で色々な失敗に気付くことがありますが、事前にディスプレイ試行することで、問題点は大体明らかになります(苦笑)。……現地で問題になってしまうのは、時間経過に伴う変化が生じてしまう場合です、昨年の夏コミで使った自作のアクリル棚のように……いやぁ、あの時は大変でした、詰めた見本誌の数が多過ぎたせいか、棚を乗せていた台からじりじりとスペースの内側へと滑り落ちてきましてね、最後にはガタン! と(汗)。それを何度も繰り返しつつ、一日が終わりました……。

 ……などという思い出話はさて置き。

 今年の三日目は例年にない涼しさで、行き帰りの交通機関の冷房が寒く感じられたほどでした。
 凍らせていった4本のペットボトルも、全部は融け切れなかったしなぁ(苦笑)……いや、4本は流石に多過ぎましたね(爆)。
 もっとも、万全の対策を取っておいた上で、もしも涼しかったら「ラッキー♪」という場ですから、三年前の酷暑が来ても問題ないよう、今後も努めたいと思っております。油断大敵。

 で、今回も通路だったかと言えば……通路は通路、人通りが凄かったのは確かです。一昨年の西ホール初日などの比じゃありません(汗)。
 ですが、今回は、POPなど色々頑張ってみたおかげなのか、恐れていたほど完全通路ではなかったようで、ふと気が付けば一次創作の新刊が持込数の半数以上出てゆくという(驚)。高井玖実子さんに素敵な表紙を描いていただけたのも大きかったと(再拝)。
 お預かりしていた熊本応援チャリティアンソロ『みどり芽吹く』も、数冊貰われてゆきましたし(深謝)。皆様からお預かりしたお代は、アンソロ主催の虚影庵さんを通じて、全額大切に益城町へ送らせていただきますね。本当に有難うございました。

 あと、長編書きとして何より嬉しかったのが、完全棚差しだった『ミディアミルド物語』の7巻8巻を新刊と併せてお買い上げくださった方がおいでだったことです。伺ってみれば、外伝集もお買い上げくださっているとのこと(伏し拝む)。「やはりコミケは他イベントと違うなあ……」と、つくづく思った次第です。……いや、本当、コミケ以外のイベントで、外伝集が貰われていった記憶がないのですよ……(汗)

 創作文芸ジャンルでの「お誕生日席」配置には大して意味はないとも聞きますし、単にウチの搬入部数が多い(頒布物の種類が多い為、どんなに絞っても総数100冊は確実に超える(汗))から島のど真ん中には置きにくいなあと思われているだけかもしれませんし(苦笑)、ひょっとしたらお隣の作家さんの緩衝サークルだったのかもしれませんが(大苦笑)、それはそれとして、出入り(=来訪者対応)がし易かったのは本当に有難かったです。
 ただ、あそこまで人通りが多いと、「これは撤収作業が出来るのか?」と危ぶみましたね(汗)。ホント、サークルスペースギリギリの所を人が通ってゆくという状態が何時間も続きましたから……。

 【以下暫く色替えでブツブツ】 ……それと、何とは明記はしませんが、水物をスペースの真横で立ち止まって扱うのは勘弁してほしいなあ、という参加者さんがおいでで……すぐ脇の委託品が当該水物を被りゃしないかとヒヤヒヤさせられました。あんまり長々作業に熱中されてて流石に酷いので、これは注意しようか、と思ったところで作業を終えて立ち去られましたけど。……恐らく、通路の真ん中で立ち止まると他の参加者の通行の邪魔になるからと思ってウチの真横へ寄ってきて立ち止まられたんでしょうけれど、うん、大体のサークルが扱っているのは紙モノですからね? ウチの頒布物は一冊一冊パッキングしてありますけど、一番上に乗ってる見本誌は、天地と小口が無防備ですからね? 水物を扱う作業をしたいなら、万一横合や後ろから人にぶつかられて手許が狂って当該水物が辺りに飛び散っても問題のなさそうな場所に移動してからにしようね? (ぶち)

 ともあれ、拙サークルへお越しくださった全ての皆様に、篤く御礼申し上げます。
 次のコミケ参加は、受かればですが、来年の夏となります。
 多分、『小説BADOMA』は完結してるんじゃないかな……オリジナルでも何か分厚いのが出せてるんじゃないかな……と思いたいです(汗)。

 今回の新刊『早蕨号、異世界をゆく』は、自家通販もありますが、「架空ストア」さんでの通販も開始しております。毎度の御案内になりますが、架空ストアさんなら支払方法が選べますし、送料が無料になるケースもありますので、可能であればそちらでの御注文をお勧めします。頒価はイベント頒布や自家通販と同じにしております(=手数料の上乗せはしていません)ので、どうぞ宜しくお願いします。

 久し振りに、架空世界の歴史群像劇『ミディアミルド物語』から、外伝集第6巻として『灰色の翼』を刊行致しました。

 ページ数は表紙込み112ページ、頒価は500円(送料別)です。但し、通販開始は、8月13日(日)のコミックマーケット92での初売り後とさせていただきます。
 当日の居場所は、東2ホール 「Q」 54 b です。昨年に引き続き、「お誕生日席」への配置とは(汗)。

『灰色の翼』
 本外伝集は、原則として「キャラクター達が本伝に登場する前の物語」で編んであります。
 収録作品は、収録順に、「セタリナーサの少年」、「月光《セタリナーサ》亭」、「運命のままに」、「青天の霹靂」、「頭立《かしらだ》つ日」、「灰色の翼」及び「ヴェルナーサの少年」の、計7編。
 最後の「ヴェルナーサの少年」のみは、本伝最初の章での出来事を別の人物の視点から描いた作品ですが、それ以外は全て、それぞれのキャラクターが本伝に登場する前、キャラクターによっては既にこれまでの外伝集で描かれている「本伝登場前」の時期よりも更に前、を描いた作品です。

 今回は、従前執筆済みの「月光亭」と「頭立つ日」、そして書きかけだった「運命のままに」を除けば、徹頭徹尾書き下ろし。
 ……書きかけ作品の続きを執筆した&新作4本(内、章立てもある中編1本あり)を書き下ろしたのは、夏コミの当落が出た後、つまり6月中旬から。
 よく間に合ったな、自分(汗)。
 特に、予定外に表題作の座を勝ち得てしまった「灰色の翼」は、「これで解決に向かうかな……」と思うと二転三転して話が長くなる有様で、デッドライン(無論、入稿までの推敲期間を確保出来るだけの時期を指す)までにきちんと終わってくれるのか、かなり冷や冷やしました……結局、第一締切には流石に間に合いませんでしたが、第二締切には何とか(苦笑)。
 正真正銘ギリギリ入稿だった2008年末の『まなざし』下巻には及ばないものの、近年稀に見る修羅場でございました。……ああ、いえ、『まなざし』下巻の時は、予め印刷所様から示されていた通常締切に間に合わず、ホントのホントの最終入稿締切(勿論、消印有効ではなく必着)前日に郵便局(地元の郵便局ではなく、都心の集配郵便局)のその日のゆうパック集荷の最終便に駆け込んでの割増入稿でしたから、もう決してアレと並んではならないのですが(爆)。

 話が逸れましたが(汗)、とにかく、登場人物が皆々若いです(笑)。
 そして、若い彼らを見守る年長者達も、なかなか美味しいです(苦笑)。
 収録順に、誰を採り上げた作品かを列記しておきますね。

  • 「セタリナーサの少年」 : ケーデル・フェグラム
  • 「月光亭」 : ノーマン・ノーラ
  • 「運命のままに」 : ミグ・ローリア
  • 「青天の霹靂」 : ソフィア・レグ
  • 「頭立つ日」 : クピー・ニルグリス
  • 「灰色の翼」 : タリー・ロファ、ベルマン・ミル、ナイルス・リブ
  • 「ヴェルナーサの少年」 : ミディアム・サーガ

 では、どうぞ宜しくお願いします。

★★★★★

 自家通販は、受付自体は開始致しますが、発送は夏コミ終了後、8月14日以降となりますので、御了承ください。「架空ストア」様での委託販売も、14日からの週の内には開始する心積もりです。

 普段通り、里の書庫の紙媒体作品目録に試し読みを、創作文芸見本誌会場「Happy Reading」さまには立ち読みの為の見本を、それぞれ置いてあります。御用とお急ぎのない方は、お気軽に覗いてやってください。

「Happy Reading」掲載ページ
   ■ 灰色の翼 → こちらから

 ふと思い立ち、『魔剣士サラ=フィンク』各話の導入を並べて、ちょっとだけコメントしておくことにしました。

『魔剣士サラ=フィンク』 書影/カバータイトルが箔押しで、スキャンすると黒くなってしまう為、画像を少し細工しています
『魔剣士サラ=フィンク』

 魔剣を操る青年魔道士と亡国の元王女との旅の途上で起こる事共を描く長編ファンタジー小説

 かつてケルリ王国を恐怖のどん底に陥れた無差別殺人鬼“魔剣士”サラ=フィンク。しかし、たまたま助けてしまったケルリの第二王女ミルシリアの存在が、彼を次第に変え始める。血に飢えた魔剣ブリザードと己自身を救う手立てを求め、彼女と共に〝魔道王国〟ルーファラを目指す彼の旅の途上に待っていたのは……

 当然、物語全体の展開ネタバレを含む代物になりますので、「その種のネタバレが多々あっても構わないから、大体どんな感じの話なのか事前に知っておきたい」という方向けの記事となります。
 ただ、サラ=フィンクや魔剣ブリザードに纏わる謎・秘密そのものについては、殆ど言及しておりません(笑)。
 なので、本記事を読まれた方でも、その辺りは愉しんでいただけるのではないかな……とは思っております。
 とはいえ、「ネタバレは嫌だ派なのに、うっかり見てしまったじゃないか!」という事故を避ける為、多くの部分をJavaScriptで畳んでいます(汗)。読みたい方は、大変お手数ですが、指定の箇所をクリックしてくださいませ。

 本作の全体構成は、「トータル・プロローグ」 → 第一部 → 第二部 → 「トータル・エピローグ」となっています。
 まずは、その「トータル・プロローグ」と、第一部の第二話までを、畳まずに掲載しますね……無料配布冊子や『はたとせ』収録で、ほぼ事前に公開済みですし(汗)。

 ……あ、書籍上での構成に倣って、「トータル・プロローグ」の後ろに人物紹介も入れておきます。書籍掲載分よりも、ちょっとだけ詳しめのを(笑)。



「トータル・プロローグ」
 リファーシア新暦五二〇年、夏、五大王国のひとつケルリが、若き地方領主アラン・シィ・アラスの反乱によって潰えた。辛うじて王城からは逃げ延びたものの、ならず者どもの手に落ちかけるケルリ第二王女ミルシリア・エル・カーリー。だが、突如として現われた黒ずくめの青年が、ならず者をひとり残らず斬り捨てる。〝魔剣士〟サラ=フィンク――かつて無差別殺人鬼としてケルリ王国から永久追放された筈の若者は、自分も殺されると確信したミルシリアの前で静かに剣を鞘に納め、「ブリザードは、今日のところはもう血は必要ないそうだ」という不可解な言葉を残して彼女に背を向けてしまう。
 ミルシリアは、そのまま立ち去ろうとする相手に、「あたしも連れてって!」と咄嗟に叫んでいた……。

 殆ど全て書いているような気もしますが(汗)、ええまあ、いいよね(苦笑)。



  • サラ=フィンク
  • サラ=フィンク/(c)1994 星村朱美 かつて老若男女お構いなしの無差別殺人鬼としてケルリ王国を恐怖のどん底に陥れ、〝魔剣士〟と呼ばれるようになった青年魔道士。
     物語開始時点で24歳。黒髪黒目の持ち主。但し、或る状況下に置かれると、瞳の色が……(もにょもにょ)
     とある事情から、恐るべき切れ味を誇る魔剣〝ブリザード〟を操るようになってしまった身であるが、当人はあくまで「自分は魔道士だ」という意識が強い模様である。

  • ミルシリア・エル・カーリー(ミルシェ)
  • ミルシェ/(c)1994 星村朱美 反乱で滅びたケルリ王国の第二王女。通称ミルシェ。
     物語開始時点で17歳。淡い金色の髪に草色の瞳の持ち主。なお、この色の組み合わせは、旧ケルリ領の辺りでは余り珍しくもない。
     攻め落とされた王城から脱出した先でサラ=フィンクに〝助けられた〟のが縁で、そのまま一緒に旅をすることになる。
     多少気位の高いところもないではないが、折々にお忍びで町中を歩いていたという〝型破りな〟一面を持つせいなのか、歴史ある国の王女だったにしては随分と気さくな性格で、環境への順応性も高い。



「砂漠の暗黒神殿」
 ケルリ王女の侍女ミルシェと名乗った娘と共に、アラシアと名を変えた旧ケルリの都ニフティスに滞在していたサラ=フィンクは、北西の地にある〝魔道王国〟ルーファラを目指すと告げ、出立する。無闇に人を斬ってしまわない為にと街道沿いの旅を避け、アラシアの北側に広がる〝崩壊の砂漠〟へと足を踏み入れた彼らは、やがて、大昔に滅びた古代魔道王国の遺跡へと辿り着く。だが、そこは、出会った者を必ず抹殺すると言われて恐れられている〝砂漠の蛮族〟が守る場所であった……

 サラ=フィンクの抱える秘密や、彼が携える魔剣ブリザードの秘密が、或る程度ですが明かされる話です。

「ファルシアスの黒エルフ」
 リファーシア新暦五一五年、ケルリ王国から永久追放された俺サラ=フィンクは、ケルリの西隣にある、犯罪都市として悪名高い都市国家〝盗賊たちの国〟ファルシアスに足を踏み入れた。そこでたまたま〝助けて〟しまった、ダークエルフの娘・エルシース――。初めて知った女性の温もりと優しさは、偽りの愛情すら得られなくなり飢え乾き抜いていた俺を僅かながら救ってくれたが、それは同時に、俺がこの街に留まることが出来なくなったことを意味していた。
 翌朝、彼女の住まいを離れ、ファルシアスを立ち去ろうとした俺であったが……

 サラ=フィンクの一人称で語られる、過去話。魔剣ブリザードとサラ=フィンクとの呪わしい繋がりの一端が語られ、また、彼の少年時代の境涯についての仄めかしが盛り込まれています。

 ……そろそろ展開ネタバレが混じり始めるので、暫く隠します。ネタバレが苦手な方は、前出の「暫く隠します」のクリックをお避けください。
 但し、携帯電話からの閲覧の場合、隠してある箇所が読めまくってしまうか、全く読めないかのどちらかです。御免なさい(汗)。


 此処までが、第一部です。
 「連載一回毎に、主人公周りの謎を少しずつ、(読者に向けて)明らかにする」というコンセプトの下に書き進めた各話でした。
 掲載誌では、この後ひとつ外伝を挟み、それから第二部へと進んでいますが、今般刊行した単行本では、勿論、外伝は外されています(汗)。

 では、第二部の最初の方は、畳まずに載せましょう。

「族長の器」
 ルーファラを離れて〝崩壊の砂漠〟にあるサラ一族の集落へと魔法で移動してきたサラ=フィンクとミルシェは、長老サラ=ルティイから、一族の間で起きているという〝騒動〟を聞かされる。族長位継承予定者であるサラ=フィンクの従弟サラ=アルクが、継承者の証となる魔法工芸品〝族長の器〟を、保管場所である古代遺跡から持ち帰れなかったというのだ。その器には、偉大なる先祖サラ=ファティジンの魂の欠片が封じられている。彼の血を引く者でなければ手を触れることすら出来ぬ筈の器が、一体どうして紛失していたのか?
 そうこうする内、族長サラ=アヴァスが殺害され、その弟までもが災禍に遭って命を落とすという異常事態に発展。一日も早く器の探索を成し遂げ、次代の族長を決定しなければならない――継承資格を持つふたりの若者が、サラ=ルティイの命《めい》で集落を旅立つ。外界を知る者として、サラ=フィンクは、ミルシェと共に目付け役としてふたりに同行することになるが……。

 サラ一族のごたごたがメインとなりますが、サラ=フィンクがミルシェに対して抱《いだ》いている心持ちの変化が顕著になってくるお話でもあります。

「守秘の流儀」
 リファーシア新暦五一九年初冬、俺サラ=フィンクは、ケルリの都ニフティスを久々に訪れた。魔剣ブリザードと無理なく生きてゆける土地はないものかという試行錯誤の放浪の果てに、〝混沌の国〟ミルタのあるタルティア島へ渡ろうと考えたからだ。
 港の辺りを歩いていた俺は、余り広くもない路地で、俺を「兄の敵《かたき》」と称する連中の襲撃に遭う。然程の難なく返り討ちにした直後、猫耳ハーフキトゥンの女がその路地に現われた。ブリザードが満足したばかりでもあり、無益な流血は避けたかった俺は、女に「立ち去れ」と警告する。ところが、その女は、俺が官憲から逃げ出したと見ると、思わぬ行動に出てきた――

 サラ=フィンクの一人称で語られる、過去話。ファルシアスを離れてからミルシェと出会うまでの彼が、何処でどうしていたのか……を或る程度ながら埋める作品です。
 ミルシェの瞳の色は、ケルリ辺りでは珍しくない色ということになってはいますが、このお話に登場してサラ=フィンクと関わりを持つ猫耳ハーフキトゥンのパルチャが、地味に同じ色の瞳の持ち主だったりします。……様々な積み重ねの上に、ミルシェとの出会いに至るわけですね(笑)。
 なお、この作品は、掲載誌での連載が終わってからの書き下ろしです。収録に当たり、この場所が適当と考え、挟みました。

 ……では、此処からも、暫く隠します。展開ネタバレを御覧になりたくない方は、前出の「暫く隠します」をクリックなさいませんよう。


 以上、ほぼ全話の簡単な(?)導入、そして作者からのコメントでした。
 第二部の終わり方は、作者自身では、「ハッピーエンドの皮を被っていながらも灰色の染みが残るノンハッピーエンド」だと思っているのですが、読み手の皆様はどう受け取られるのか……。

 拙《つたな》い紹介で本作に御関心を持ってくださった方、表紙込み820ページの上製本という1,090グラムの超鈍器ですが(汗)、是非ともお手に取ってやっていただければと存じます。
 直接参加イベントには売り切るまで例外なく持参致しますし、来年(2019年)の7月頃までは、委託参加のイベントにも頑張って預けますので……!
 因みに通販は、入金方法など色々な点で融通が利く「架空ストア」さんがお勧めです☆

 ジャンルごた混ぜ短編小説集の第三弾『捻《ひね》り出しミックスナッツ』を、この夏の新刊として刊行致しました。

『捻り出しミックスナッツ』
 ページ数は、表紙込みで60ページ。
 頒価は、300円(送料別)です。
 自家通販は開始しておりますが、発送は8月3日以降となる見込みです。「架空ストア」様での委託販売も、8月4日の朝09:00に開始させていただく予定です。

 これまでの『蔵出しミックスナッツ』、『掘り出しミックスナッツ』同様、シリーズ物としては纏められる当てもない短編を、ジャンルバランス無視で……いや、流石に今回はSFモドキばかりになるのを避けようと考えて「ミンヘの場合」を書き下ろしましたが(汗)……ごた混ぜに集めてあります。
 今回も、『掘り出しミックスナッツ』と同じく、作品数は5本です。

▼歴史系風味と伝奇風味の混じった作品
 『綺譚 月石の民』シリーズの短編です。
 『歳三《おれ》達の場合』の最後の方に登場する“見掛け童女”ミンヘさんが月石の民に生まれ変わった時のお話なので、うんと時代を遡って、日本で言えば鎌倉時代の頃(元寇より前)が背景となります。つまり、明代に刊行された『三国志演義』どころか、元代の『三国志平話』すら刊行されていない時代ですので……(以下略)
▼二次創作に分類されるファンタジー作品
 『小説BADOMA』3巻の番外編に当たります。オリジナルキャラクターであるフォーリア魔道学院見習生フィル少年の側から、黒魔道師タンジェ君との出会いを描いている作品です。
 2016年に『長編上等ガイドブック』に寄稿した作品に思いっ切り加筆しています。いやー、こっちは字数制限ないですから(爆)。
▼舞台が未来世界の作品
 『レジェンダリィ・クレイン』シリーズの短編が、今回は何と3本! 西暦2245年、2109年、2118年、それぞれの頼山紀博《よりやま のりひろ》君に出会えます。また、どうして紀博君が他人《ひと》から「クレイン」と呼ばれるようになったのか……そして何故、ファミリーネームを必要とする際に「クレイン・ロード」と名乗るのか……それらの理由が何気なく(?)判明することに(笑)。
 ……あと、大変に余談ですが、「今回限り」の出来事が起きた西暦2118年は、抗サイオニック兵器類が世に出てくる前+超能力者《サイオニック》の能力を引き出す訓練手法が各所でまだ余り成熟していない、という時代なので、紀博君、けっこー無敵モードでございます(苦笑)。
 因みに「肖像画」は、「Text-Revolutions」(以下、「テキレボ」)公式アンソロ『imagine』に寄稿した作品でもありますが、ルビフルバージョンとなっておりますので念の為。そもそも、タイトルからして「肖像画」にルビ振る形になっていましてな(爆)。Web記事だと、タイトルにはルビが指定出来ないので、已むなく「ポートレイト」という読みの方で寄稿しましたからね……(苦笑)。
 (参考までに、頂いたコメント等を集めたモーメントはこちらから)

 収録作品は、収録順に、「肖像画《ポートレイト》 」、「来訪者」、「引退」、「ミンヘの場合」、そして「今回限り」の、計5編。勿論、全て、リライト、リバイス済または書き下ろし作品です。

 なお、二次創作が1本混じっている冊子ながら、作品数でもページ数合計でも全体の半分には遙かに及ばない為、オリジナルオンリーイベントでも頒布致します。

 例によって例の如く、里の書庫の紙媒体作品目録に試し読みを上げると共に、創作文芸見本誌会場「Happy Reading」さまにも立ち読みの為の見本を置いています。どうぞお気軽にお立ち寄りください。
 なお、書庫の試し読みには二次創作「来訪者」を、「Happy Reading」さまでの立ち読みには一次創作「肖像画」を、それぞれ選んで収録しております。後者PDFは、テキレボアンソロ寄稿分と内容的には変わりませんが、当然ながらルビフルバージョンです(汗)。

「Happy Reading」掲載ページ
   ■ 捻り出しミックスナッツ → こちらから

 一昨年……いえ、記事を叩き終えない内に年を越してしまったので(汗)一昨昨年、の「リレーノベル、始めました。」でお話ししたリレーノベルが、昨年秋、ようやく刊行に至りました……って、すげー今更なんですがお知らせの記事となります(汗)。
 作品タイトルは、『DayDream Quest ~最弱勇者が復活を繰り返したら魔王と対決することになりました~』でございます。略称「DDQ」……何処かで見たよーな略称ですが、きっと気のせいです(笑)。
 参加メンバーは、「兎角毒苺堂」の伊織さん、「象印社」のくまっこさん、「鏡の森」のコドウマサコさん、「虚影庵」の島田詩子さん、「猫文社」の藤木一帆さん、「夢花探」のほたさん、そして当方です。……詳細は、上記リンク先の過去記事を御参照ください(汗)。

『DayDream Quest ~最弱勇者が復活を繰り返したら魔王と対決することになりました~』
 判型は、普段の当方の刊行物とは異なるB6判
 ページ数は、表紙込みで120ページ。
 頒価は、500円(送料別)です。
 「架空ストア」様での委託販売は、既に開始しています。自家通販も可能ですが、イベント参加の約3週間前(次回は、「文学フリマ広島」前の2月1日を予定)には受付を停止しますので御了承ください。

 表紙・人物カット等は、「猫文社」の藤木一帆さんの力作。但し、タイトルロゴに絡む触手の担当は、「夢花探」のほたさん。……折角なんで、触手の一部をレインボー箔での箔押しにしています(笑)。

 肝心の物語はと言えば、一見、某コンピュータRPG風の作品かな? という出だしなのですが、何しろリレーノベルですから(?)、引っ繰り返しに次ぐ引っ繰り返しで、なかなか大変な展開に(爆)。本の前半では、誰が何処を担当したかがわからないようシームレスで掲載し、後半、二色刷のページで、答え合わせとコメンタリーを掲載しています。まずは物語そのものをお楽しみいただき、それからゆっくりと、ネタバレ込みのパートを確認してやっていただければ……と思っております。

 複数人で綴った作品なので、里の書庫の紙媒体作品目録での試し読み掲載は控えていますが、創作文芸見本誌会場「Happy Reading」さまの方では、立ち読みの為に冒頭から暫くの箇所までを置いています。どうぞお気軽にお立ち寄りください。
 立ち読みテキストの方は勿論シームレス掲載ですが、PDFの方では、同一箇所の二色刷ページ側を提供しています。是非、「こんな感じかー」と覗いてやってくださいませ。

「Happy Reading」掲載ページ
   ■ DayDream Quest → こちらから

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